昔の女の喘ぎ声が耳に残る夜
「もっと突いて、そこ、もっと。こんなふうに言ってたかな」
アスレイドが淡々と言ったとき、ノインは笑ったふりをした。
怒ってもいない、泣くような感情でもない。
ただ、へえ、と一言。
無表情のまま頷いた。
けれど、その夜。
アスレイドの脚を割り開いたノインの耳の奥では、その声が繰り返される。聞いたことがない女の声は、何度も何度も、抑揚を変えてノインの鼓膜を叩く。
『もっと、そこ、突いて……』
うるせえ
口にしなかった言葉が、
喉まで来て、息に変わった。
少しでも振り払おうとして、性急に両足を抱える。切っ先が後孔に埋もれると、アスレイドが小さく喘ぐ。
「あ、っ……ノイン君……」
その声で、少しだけ安心した。
でも、また思い出す。
『あなたのそこ、好き……もっと、もっと……』
黙れ
腰をぐうと奥へ押しつけながら、ノインは眉を寄せた。
「あんた……今、俺のことで……気持ちよくなってるか?」
アスレイドは小さく目を見開いて、それでも、優しく微笑む。
「うん。君ので、気持ちよくなってるよ」
それ、本当かよ?
『あの子も、好きって言ってたよ。僕が奥に出すの、嬉しいって』
今言うな……今じゃねえ
ぐっと奥まで突き上げる。
アスレイドの身体が震える。
汗が額をつたう。
「ぁあ、ノ、イン君、そんなに、激しく──」
『奥でいかされるの、癖になるんだって。だから、僕は腰を深く入れたよ』
もう黙れ
「うるせえ……」
声に出た。
アスレイドが少しだけ、息を呑む。
「あ……ごめ、違ぇ、今のは」
「いいよ。大丈夫、ノイン君。ね……」
アスレイドの腕が、背中に回って静かに抱きしめられた。
突きながら、突き壊しながら。アスレイドが笑って、涙ぐんでるように見えた。
「……君だけ、だよ。僕の今を壊せるのは」
その言葉で、
やっと過去の声が、消えた。
「ああ……っ、俺が、俺だけが……」
突きながら、繋がったまま、ノインは泣きそうな顔で果てた。
精液が、アスレイドの奥に溢れる。
指が、背中に食い込んでいた。
2025年7月13日