四神の御手にて作られし魂が、その御座に還ることを心より願う
――――アスレイド・シェルジュ・アルヴァリオ

草の民の料理

「……これは、なんという料理名かな」
「名前なんかねえよ。芋と獣肉と、塩。火にかけりゃ、こうなる」
「なるほど。理に適っているね」
「文句あんなら食わなくていいぞ」
「ノイン君、僕が文句を言う顔と覚悟を決めた顔を取り違えるのは、そろそろやめてくれないかな」
(椅子に静かに腰を下ろし、スプーンを手に取る)
「それにしても……この香草、ずいぶん攻撃的な匂いだ。鼻の奥に火が灯るみたいだね」
「それがいいんだよ。熱くて、濃くて、腹に来る。風に吹かれて歩いてきた草の民は、こういうの食わねぇと眠れねぇ」
「君は、食事を戦いのように語るね……」
(スプーンが器に沈む音)
「──うん、味は……とても、強い。胃袋が目を覚ますようだ」
「なんだそれ。眠ってたのか、あんたの胃は」
「長い間、静けさの中で育ったからね。こういう生きるための味には、敬意をもって臨まないといけない」
「だいぶ真面目に食ってるな」
「食とは、信仰だからね」
「やめろ、急にそんなこと言うの」
「けれど……この焦げた肉の端、ちょっと寂しい味がする」
「炭になっただけだ」
「寂しさにもいろいろあるね。……もう一口、もらっていいかな」
「おかわりなんてねえぞ。鍋ごと食え」

2025年6月24日