祈る
祈りは、君を縛る。
君の瞳は確かに僕だけを映していた。
けれど、それは僕に向けられたものではなかった。
僕の奥に沈むものを見つめながら、君はただ、壊すことに祈っていた。
……それが分かってしまった瞬間、胸の奥が昏く濁った。
君が他の誰かを見ていないことに安堵したはずなのに、そこにあったのは安らぎではなかった。
僕は嫉妬していた。 君が僕に向けていたはずの祈りに。
祈りにさえ劣った自分に。
唇は笑みをかたどった。 君に気付かれないように。
けれど、その笑みの裏で僕はずっと祈りを、憎んでいた。
壊されることでしか届かないと信じていた君。
届かないと知りながら壊され続けていた僕。
もし祈りが君を奪ったのだとしたら、僕は祈りを呪うだろう。
それでも君が差し出した震える手を、僕は拒めなかった。
祈りに嫉妬しながらも、なお君を受け入れてしまった。
そして、その嫉妬さえ、君がくれた証だと気付いた時。
僕は。
2025年8月19日