四神の御手にて作られし魂が、その御座に還ることを心より願う
――――アスレイド・シェルジュ・アルヴァリオ

夜明け前

夜が明けかけていた。
紅い寝台の上、女は涙を流したまま眠っている。
声を枯らし、身を痙攣させて、最後には僕の腕に崩れ落ちた。

その顔を見下ろしながら、僕は静かに微笑んだ。
「……綺麗だな」

泣き声は確かに光だった。
声を引き出すたびに、彼女は生きていることを晒した。
その瞬間だけ、僕は人間の証を手に入れられる気がする。

けれど、夜明けとともに光は消える。
彼女の涙も、声も、僕の中には残らない。

だから僕は、また探さなくてはならない。
光を帯びるために。
そのたびに、女たちは泣いて、僕は微笑む。
いつか、僕を壊してくれるんじゃないかと期待して。

──けれど。
僕に届かない。
僕が帯びているのは、神性の残滓か、光の残響か。
彼女たちは泣き崩れるばかりで、誰も僕を壊せない。

僕を壊せる人は、この世界に在るのだろうか。
まだ明けるには遠い夜で、僕はまだ見ぬ誰かを探し続ける。
それを信じることだけが、僕の光だった。

2025年9月16日