2025-12

外伝

外伝5 紫煙

灰の教堂の庭先に、薄い煙がひと筋、朝の空へと立ち昇っていた。 ノインが片肘をつきながら腰を下ろし、火のついた巻き煙草を指先で弄んでいる。湿った土の匂いに、乾いた葉の香りがゆっくりと混ざっていく。誰も起きてこない静かな時間に吸う一本は、東にい...
影の祈り_語られない記録

被害者の会

セディは、その紙切れを三度読み返した。差出人はない。文面は簡潔で、丁寧で、腹が立つほど落ち着いている。——あの人のことで、話がある。——場所は以下のとおり。——無理に来る必要はない。「……無理に来る必要がない、って書いてある手紙ほど信用でき...