2025-10

影の祈り_語られない記録

二つの孤独

外はもう風の音も止んでいた。部屋の中二人、ベッドの上でか細く揺れるランタンの灯りを眺めている。掛けるための布団を分け合い、肩を寄せ合う。少しごわつく布が、素肌を少しだけ刺していた。先に口を開いたのはノインだった。「……あんたってさ、前は何し...
影の祈り_語られない記録

苦手な地巡り

焚き火の周りで、五人が休んでいた。話題も尽きかけたころ、レヴィンが何気なく口を開く。「……そういや、お前らそれぞれ苦手な土地ってあるか?」「苦手ってなによ、どこでも愛があれば平気じゃない?」「それ、思想として間違ってると思う」「苦手。なんと...
灰の記録

四神の昼下がり

白い、天に延びる塔の一室。境界のない窓の向こうは、淡い乳白色の世界が広がっている。エルミナ「ねえイグレイズ、会議の議題ってまだ決まってないの?」イグレイズ「議題は自由な意見交換と記したはずだ」ウィルナ「自由って言われたら来ない理由がないじゃ...
外伝

外伝3 深銀

胸に沈む重みで、ゆっくりと瞼を開ける。温かな朝日は、優しく室内に差し込んでいる。隣で眠る男の体温を共有しているからか身体が冷えることはない。 身体を暴いた熱が、余韻を纏いながらゆっくりと抜けていった。それから、二人、離れがたいようにぴったり...
外伝

外伝2 赤に溶ける

窓から差し込む朝日に眩しさを感じて、ゆるくシーツの海で身じろぐ。白雪の季が近付いてきたのか、この頃の朝夕の冷え込みが肌を刺すものになってきた。それでも、隣で眠る男の体温を分け合うことでやり過ごしてきたけれど。「……ん、のいん、くん……」 乱...